今回はほっと一息、トワ子とたま子のよもやま話(その1) 着床遅延のお話

トワ子「今回は、着床遅延のお話をするわね。前回は胚の凍結保存のお話だったでしょ?凍結保存した胚は、母体の心身状態や生活環境などに合わせて移植することができるわよね。ようするに、ある程度自分で着床の時期を決められるの、これも着床遅延の一つね。自然界では有り得ない事よね~。」

たま子「そうですよね!30歳の時の胚を凍結保存して、40歳で移植して、着床して妊娠して出産してっ・・・て事もできるんですよね。すごいですね~!ホントにすごい事ですよね~!」

トワ子「そうなのよ。すごい事よね~。でもね、自然界の動物達も実はすごいのよ。自然界には危険がいっぱいあるでしょ。生まれてすぐに外敵に狙われる事もあるのよ。」

たま子「そうですよね。肉食動物が草食動物を狙ったりするんでしょ?」

トワ子「そうね。だから、動物によって赤ちゃんの姿が違うのよ。つまり馬などの草食動物は敵に襲われるかもしれないから生後間もなく走れるほどに成熟して生まれる事が多いの。それに比べてトラなどの肉食動物は敵が少ないから目も開かない状態で生まれてくるのよ。そして、カンガルーなどの有袋類は、とっても小さく未熟な状態で生まれて来るけどお母さんの袋内で成長するから敵に襲われることはないわね。」

たま子「ほんとですね~、理にかなってますね。自然界もすごいんですね。

トワ子「それだけじゃないのよ。もっとすごい事が出来るのよ。動物の中にはね、交尾をして受精卵が出来てもヒトみたいに直ぐに着床しないで、数回分割した胚の状態で子宮に浮遊させておいて、出産の時期を見て着床させる事ができる動物達もいるのよ。これを着床遅延って言うのよ。着床遅延をする動物は、クマやパンダ、カンガルーそれにアザラシなんかもそうなのよ。一般にクマは、春から初夏にかけて交尾をして、受精卵は卵管の中を漂っていて11月に入って冬眠の準備が始まる頃に着床するの。だから6ヶ月ほど遅れての着床になるのよ。そのあとは、2ヶ月たらずの妊娠期間で約450gという小さな赤ちゃんを産むのよ。母クマは冬眠中で何も食べられないけど、赤ちゃんが小さいから母乳を飲む量も少ないでしょ。そして4月初め頃に母クマは冬眠から出てくるんだけど、その時には子グマの体重は、約24kgにもなっているのね。だから、外敵からもほぼ大丈夫ってわけなのよ。でもね、冬眠に入る時の母クマの栄養状態が良かったら着床するんだけど、良くなかったら・・つまり赤ちゃんに与える母乳の量が十分じゃないと思ったら、着床しないで流産してしまうのよ。」

たま子「なんだか自然界には、厳しい掟があるんですね。私、ヒトで良かったですぅ~。外敵にも襲われないし、毎日おいしいものが食べられて幸せだもの。だから神様に感謝して、優秀な子孫を残すために沢山学んで、沢山食べて心身共に健康になって、たま子の分身を沢山作りま~す。」

トワ子「私は、生かされているこの命をもっともっと大切にして世の中の役に立つ人を目指すわ!たま子、明日から心身を鍛えるために修行に励みましょうね。」

たま子「おてやわらかにお願いしま~す!」

トワ子「じゃ、まず手はじめに・・・さぁ、行くわよ~」

たま子「え~っ!今からですかぁ?・・・」

 

 

トワ子の独り言

   ヒトは外敵なんていないわよね()それはそれは大切にお母さんのお腹のなかでも出産してからも育てられるわね。ヒトは受精してから出産するまで約266日と言われていて、その間260日はず~とお母さんと繋がっているのよ。お母さんは、その間赤ちゃんのために沢山の栄養を取ることができるわよね。でも、野生動物にはそれは簡単な事じゃないのよ。どちらも尊い命よね。みんなで大切に守って次に繋いでいきましょう!

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