こんにちは、トワ子です。これまでのブログで、体外受精の概略的なことをお話してきました。これからは、もう少し突っ込んで、皆さんの疑問に思われるであろうことを、なるべく分かりやすく、説明して行きますね。
まずは、受精障害についてです。
外見上、卵子も精子も異常無さそうなのに、体外受精を行って、全く受精の見られないことがあります。この場合、受精障害を疑うことになります。
患者さんの中では、採卵して、いくつか採れた卵子すべてが受精しなかった時、培養室のほうから、卵子と精子の相性が悪かったのかも知れませんね、と言われたことがある人もいるかもしれません。
一口に受精障害と言っても、原因は、精子、卵子のそれぞれに存在し、その内容も多義にわたります。次に、体外受精での受精障害の、考えられる原因をあげて行きますね。
① 精子が卵子の透明帯に接着できない
② 精子が透明帯を通過できない
③ 精子が卵子の細胞質に取り込まれない
④ 精子が卵細胞質の中に入っても、卵子を活性化できない
⑤ 卵子自体がまだ未熟なため、精子が入って来ても反応できない
⑥ 酸化ストレスなど様々な理由により、卵細胞の質の低下がおこり、受精の反応を(前核を)発現できない
以上のように、精子が卵子に入り込む間にも、いろいろな過程で障害が起こっている場合があり、それぞれの障害の理由は異なります。
このうち、①〜③の原因の場合、ICSIにより受精を得ることができます。
また、⑤〜⑥の場合も、卵巣の刺激方法を工夫したり、サプリメントの服用などにより、改善できることもあります。卵巣の反応は、患者さんひとりひとりが、また、周期によっても異なってきますので、ドクター達は、卵巣刺激法を日々模索し、苦労を重ねています。
なので、体外受精で受精が見られなかったからといって、全くこの先見込みが無い訳ではなく、本当に厳しい人は、④の原因のかたのみであり、こういう症例はごく僅かしかいません。
一度の体外受精で受精が全くなかったら、ショックを受けるかもしれませんが、⑤⑥のことも多いので、2回目では受精するということも多々あります。もちろん、今までちゃんと受精してたのに、今回は受精しなかった、ということもあります。
以上より、受精障害を疑われた場合は、次回は何が何でもICSIというわけでもなく、複数個卵子が採れた場合は、体外受精とICSIの2通りでされてみるのもいいと思いますよ。